オペレーターとしてのプライド

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ヘッドセットをオンにした志々目は、静かに深呼吸をした。その顔は怒りで真っ赤に染まっており、オペレーター室が緊張に包まれる。 「キミは、私が言っていることが理解できないのかい?」 志々目は静かに、子どもに言い聞かせるような口調で、そう言った。 『は?あのくらい別にあなたのオペレートなしでも余裕よ』 どこか見下したような口調で、ヘッドセットから少女の声が聞こえる。 志々目は、もう一度大きく息を吸うと、色の失せた声で淡々と話しはじめる。 「キミはもうそこから離脱しなさい。それ以上MPの使用を続けるならば、法的措置をとらせてもらう」 『はぁ?アナタ馬鹿?ここでエビルを見逃したらどれだけ街に被害が出ると……』 「勘違いしてほしくないが――これはお願いではない。命令だ」 志々目の底冷えするような声に、少女は思わず黙った。 マイクのスイッチを一旦切った志々目は、後ろで作業をしている女性に声をかける。 「金木さん、夕ちゃんを送ってもらえないかな?現場についたら俺がオペレートする」
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