オペレーターとしてのプライド

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金木と呼ばれた女性はコクコクと怯えたように頷くと、すぐに作業へ移る。 夕が現場につくまで約2分弱といったところだ。だが、今の少女に勝手に暴れられるよりは被害が少なくて済むだろう。志々目は、モニタに目を戻しながらそう思った。 『……わ、悪かったわよ』弱々しい謝罪の声が聞こえてきた。 これには志々目も驚く。ああいう輩は最後まで勝手だと、経験上踏んでいたからである。 志々目は、急いでマイクのスイッチを入れる。 「キミが反省してくれるのは今後とても重要なことだが、それでもキミの離脱命令は覆らない。私たちはオペレーターだ。オペレーターはキミの命を第一に考えて指令をだす。オペレーターは街の安全を考えてキミに指令をだす。私たちにはお互いの信頼関係が必要不可欠になる。キミに理解できるかわからないけど、ひとつ、いいことを教えよう」 志々目は、一呼吸置いて、怒りの混じった声色で言い放った。 「オペレーターの指令は絶対だ」 ヘッドセット越しに息を呑む声が聞こえる。 それでも志々目は、気遣いの言葉をかけようとも思わなかった。 「キミのオペレートを引き受けることはもうないだろう。それでは、さようなら」 ヘッドセットを机に投げると、志々目は、深い溜息をつく。こういう手合は久々だったため、志々目も少しつかれた表情をしている。 「あ、あの……志々目さん。夕ちゃんが到着しました」金木に声をかけられ、志々目は、自分の頬を強く叩く。 そう、まだ終わってないのだ。全てを守るため、志々目は、またヘッドセットを手にとった。
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