お飾り社長

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ハイウェイは日本の高速道路ほど整備されておらず、車窓越しに荒野が広がって見えるのが印象的だった。道路が悪いのか、車が悪いのか、時折激しく車がガタガタと揺れて、後部座席にいる金木さんは、気分悪そうに頭を抑えている。初のアメリカだというのに全く楽しめていない。 僕が心配そうにミラーで金木さんを見ていると、隣で陽気に口笛を吹いていたハリーが、海外映画のように僕に肘打ちしてきた。 「どうだい、アメリカにきた感想は?」 「どうもこうもないよ。実感がまるでない」 「まっ、街に出れば嫌でも実感するさ」 彼はどこから取り出したのか、顔の大きさほどもあるホットドッグにかぶりつくと、ミラーを一瞥する。 「それにしても……まさかシシメが女性を連れてくるなんて思わなかったよ」 ハリーが英語に切り替えて話す。気を使ってくれているらしい。というよりも、浮ついた話をしたくてだと思うが。僕もそれに習って英語に切り替える。 「僕もだよハリー。本当は一人で来るつもりだったんだけどね」
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