お飾り社長

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「ガールフレンドかい?」 「そんなこと日本語で言ってみろ。僕じゃなくて彼女が君にビンタするだろうさ」 ニヤニヤと笑いながらハリーは不躾にミラーを見る。ハリーも金木さんが英語が未熟だということを知っていた。悪質である。 「志々目さん」  後部座席から金木さんの声。少し刺があって冷や汗が出る。 「ど、どうかした?」 「ええ。いくら英語が苦手な私でも『ガールフレンド』と『ノー』の意味くらいわかるんですよ?あと、ハリーさんの表情とかでも、どんな話かは察しがつきます」 「そ、そうなんだ」 「ええ、そうです」 あはは、と乾いた笑い声をあげながら、ハリーを睨む。ハリーは口笛を吹きながら目を逸らしていた。 「それにしても、彼女はなかなかおっかないね」 まだ金木さんの話をするのか、と思いながらも、僕は適当に相槌を打つ。 「日本の女性は男性より強いと聞いたけど、真実のようだ」 「彼女は特別だよ。普段は女性らしいんだけど」
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