お飾り社長

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「あ、そうそう。いい忘れてたけど、事務所に君たちの専属MGがいるからね。仲良くしてやってよ」 「は?」 僕は思わず素っ頓狂な声を出した。そんな大事なことをいい忘れてた?いやいや、あり得ない。ハリーの仕事に対する几帳面さはよく知っている。こんなことをいい忘れてただなんて、ハリーかどうか疑うレベルの失態だ。 「わざとか?」 「ん?バレた?サプライズが合ったほうが人生楽しめるよ」 「仕事に関しては必要ないと思うが?」 低い声で僕は言った。仕事でこんなお遊びは、許せない。僕たちは人の命がかかった仕事をしている。決して、気を抜いては行けない立場だ。僕の怒りを感じたのか、ハリーはすまなそうに目を伏せた。 「悪かったよ。彼女に口止めされていたんだ」 「そのMGに?」 「そう。彼女も日本出身なんだけどね、あまりのスペックの高さに、僕らが応援要請したんだ。その手前、なかなか逆らえなくてね」 そういう事情があったのか。そうなら早く言えばいいのに。僕はタブレットを取り出して、MGの検索画面まで操作する。 「それで、名前はなんだい?」 「遠峰りりす、さ」 「聞いたことがないな」 そう言うとハリーは肩をすくめる。 「そりゃそうだ。彼女はTOKYOではなくて、ロシアで活躍していたからね」
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