宮城壱琉の有意義な放課後

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ふふん、勝った! いっちゃんは甘いものがとーっても苦手なのに、お母さんの初琉ちゃんの手作りお菓子だけはちゃんと食べるの。 嫌な顔ひとつ見せない。 でも、ほんとは苦手だから嬉しそうな顔もできなくて、いつも無表情で淡々と食べ続けてる。 だから、チカがいると、いつも助かったーってカオするの、知ってるんだもんねー。 「んじゃ、和室でやるか。道具持ってこいよ」 「えぇー! チカ、いっちゃんのお部屋がいい! てか、もう初琉ちゃんと座卓を運びこんじゃってるしー」 「何、勝手なことヤッてんだよ、お前らは。……ったく」 うふふーん。そんな風にカオしかめて、不機嫌そうにしてても分かってるもん。 面倒くさそうにしてても、ちゃーんと指導してくれること。 凶暴な言動と、凶悪な表情とで誤解されがちだけど。 いっちゃんは本当は優しくて、お母さん思いな人だってこと。 チカが、一番分かってるんだからねっ!
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