宮城壱琉の有意義な放課後

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精神がかなりヤラレたけど、気を取り直して、再び書のお稽古に取り組むことにした。 「うーん……まだまだだな。 ここの丸みと、はらい方に気をつけて、もう一回書いてみろ」 眉間にしわを寄せて、落第点を言い渡された。 滅多に真面目な態度を見せないいっちゃんだけど、弓道と書に関してだけは真剣だし、厳しい。 だから、チカも書を始めたんだよ。 いっちゃんに少しでも近づきたくて……。 「――チカ」 「え?」 ――ふわり いっちゃんの纏う、清涼でスパイシーな香りに身体全体が包みこまれた。 「動くな」 びっくりして立ち上がりかけたけど、その途中で、強引な手に動きを制されてしまう。 「このまま、続きを書いてみろ」 「えっ?」 こっ、このままって言われても! いっちゃんの大きな身体に後ろからすっぽりと覆われてる、この体勢のままってこと? 右手は筆を持ったまま、包みこまれて。 ひっ、左の腰に手を添えられてる、この姿勢のまま? しかも、息遣いが! いっちゃんの息が、右の耳に当たってるんですけどっ! 「……ん? ほら、力抜けって。 そんな風に力んでたら、ヤレるもんもヤレねぇだろうが。 俺の呼吸に合わせて、動け」 無理だってばぁ! そんなセリフを耳元で囁くの、禁止ーっ!
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