宮城壱琉の有意義な放課後

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「チカ? お前、顔赤いぞ。大丈夫か?」 大丈夫なわけないじゃん! こーんなに、いっちゃんのことが好きなのに! そのチカに、こんなことしてっ……! 「いっちゃん! いっちゃん、大好きっ!」 包み込んでくれてる腕に、ぎゅっとしがみついた。 ずっと、我慢してた。 綺麗な年上の彼女がいるのだって、ちゃんと知ってる。 告白しても玉砕するだけだってわかってたから、我慢してたのに! なのに、こんな風に触れてくるから、我慢出来なくなっちゃったじゃん! 涙が、じわりと浮かんできた。 「お、おぅ。お前のことなら、俺も好きだけど?」 「その『好き』じゃ、嫌なんだってば! いっちゃんの馬鹿っ!」 「――チカちゃーん! パイ、焼けたわよぉ!」 ――バタンッ! いきなり開け放たれたドアと、その音にかぶって聞こえてきた、小鳥の囀ずりのような軽やかな声。 初琉ちゃんだ。 「あらっ? あらあらあらっ! まぁ、いっちゃんってば! こんなに可愛い乙女を泣かせて、何やってるの?」 「は? 母さん、何言って……」 「あっ、間違えた! テヘッ! チカちゃんは、乙女に限りなく近い、とーっても可愛い『オトメン』だったわぁ」 「ううぅっ……初琉ちゃんも、馬鹿ぁ!」 ――とっても可愛いけれど、かなり可哀想で不憫なチカちゃんでした(笑) 題名『宮城壱琉の有意義な放課後』改め、 『秋田正親(あきた まさちか)くんの不憫な放課後』 ―END―
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