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祖母は急に倒れた。病院へ行くと脳出血だったそうだ。僕は幼かった。
ただ、家族と一緒に震えているだけだった。
その時の祖父がどんな気持ちだったのかは、想像するしか無い。
恐らく、病院の先生から聞かされたのだろう、祖母は脳死だと。
今の状態は機械で身体を生かしているだけだと。頭の中は死んでいるのだと。
祖父はお祖母ちゃんの「死の時間」を決めなければいけなくなった、のだろうと。
どれくらいの葛藤があったのだろうか。
愛する人の「死の時間」を自ら決めるなんて。
お祖父ちゃんの時間は、そこで一回終わったのだろう。
それからの祖父は、以前の祖父ではなかった。アルコールに、逃げ場を求めるだけの人になってしまった。
死ぬまであの事を引きずってたお祖父ちゃん。
やっと、一緒に成ったね!
空の祖父母にそっと言葉を捧げる僕がそこに居た。
空の祖父母を見上げる僕自身の周りには、降り積もった赤々としたカエデが静かに空を見上げていた。
―終わり―
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