突然の捧げ物

13/38
前へ
/368ページ
次へ
「……というか、なんであたしなんですか?処女だと思ったからですか?」 誰でもいいなら、美岬ちゃんだって、事務の大川さんだって、その辺にいるギャルだって、誰だって良かったはずだ。 男なんだから、一人で飲みに行けば、誰かしらお持ち帰りできるんじゃないの? 暫く、じっと牧田に見つめられる。 弱いお酒を飲んでる牧田の目は、少し充血してて、それでも、あたしから目を放すことなく、鋭い視線がささる。 あたしも負けてらんないと思い、牧田の目を睨み返す。 カタンと小さな音がして、牧田の両手があたしの前に伸びてきて、かけていたメガネが外された。 「…ちょっと、メガネ……。」 視力が落ちて、ボヤけて見える牧田の顔が、ふにゃりと緩んだかと思うと、優しさ溢れる笑顔で満面になった。
/368ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1483人が本棚に入れています
本棚に追加