突然の捧げ物

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「親友があたしの彼氏と、あたしの部屋でやってるとこを目撃した日です。さすがに悔しくて、泣きました。その日のことだと思います。」 「………。」 げ。 ドン引きしてるし。 唖然とした顔がマヌケで笑える。 「もう昔の話ですけどね。」 頭にポン、と温かな手がのせられた。 見上げると、今までに見たことのない悲しそうな顔をした牧田が、まるであたしの気持ちが乗り移ったかのような表情をして、微笑んでいた。 「辛かったな…?」 やめてよ。 冗談にできると思ってたのに、当時の気持ちを思い返して、胸が熱くなる。 「だから、昔の話ですって。」 自虐ネタのつもりで話したのに。
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