恋に落ちるということは

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息苦しそうな牧田の目は少しとろんとしていて、声もシワシワのしゃがれ声。 アイスを食べて、震える牧田をそのまま帰した昨日のことが頭をよぎる。 牧田んちが一体うちから、どのぐらいの距離にあったかなんて聞いてもいないし、最寄り駅すら知らない。 あのあと、どのくらい、寒空の中、外にいたのかすら。 「熱はないんで、参加します。移らないよう、マスクもします。」 ゴホっゴホっ、とどう見ても具合の悪そうにしか見えない牧田を見て、思わず顔が歪んだ。 一瞬、目があったかのように見えたけど、あたしも牧田もすぐに仕事に取りかかったので、事実、あったのかどうかはよく分からない。
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