突然の捧げ物

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「おーい、皐月ちゃーん。今回の社員旅行の企画、お前、主担当な~。」 間延びした声で話しかけてきたのは、この会社の一応、社長。 確か40代。 小さな会社だから、社長も社員も同じフロアで一緒に働いている。 「あたし、一人ですか?」 「去年、牧田が担当だったから、牧田と二人でやってくれ。場所の希望とかあるか、美岬ちゃん?」 「温泉、温泉、おんせーん!温泉であったまりたいでーす。美岬の浴衣姿、ぐっときますよ、社長?」 今日もピンク色の服に身を包む。 美岬ちゃんは、必ず毎日、どこかにピンクを取り入れるというのが、ここ半年くらいのこだわりらしい。 お目目パッチリ、唇ぽってり、ほんのりピンクのほっぺ。 可愛い風に見せてるメイク。 このメイク術はかなりのものだと、去年、社員旅行ですっぴんを見て、実感した。
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