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昼休み。
いつものように自作のお弁当で昼食を取ろうとしていると、携帯が震えた。
相手は、同期かつ友人の鳴海さんだった。
『お昼、休憩スペースで一緒に食べない?』
他の相手だったら、お弁当を見せることに躊躇したりもするが。彼女にはそうした気を遣う必要がない。
分かった今から行く、と返信を打った。
約束の場所にたどり着くと、鳴海さんは既に着席していて、静かに紙パックのコーヒー牛乳を飲んでいた。
「穂高君。ごめんね、急に呼び出して」
「ううん。連絡もらわなかったらひとりでお弁当食べるだけだったし」
そう言ってお弁当を広げようとして、はたと気付く。
「あれ、鳴海さんもお弁当なんだね」
「うん。穂高君に倣って」
女の子らしいカラフルさと、男性的なボリュームが同居している。鳴海さんのこういうところが、個人的にすごく好きだ。
「唐揚げ、おいしそうだね」
「ありがとう。お肉は、外せないのです」
お肉への愛を語るキリッとした眼差しに、ついつい微笑んでしまう。
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