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「ゴールデンウィークは、どこか行った?」
鳴海さんに問われ、うん、と頷く。
一昨日までゴールデンウィークの連休で、そのうちの二日ほど、彼と嵐君と一緒に温泉に行っていた。
「温泉か。いいね」
「鳴海さんは?」
「ちょっと海を見に行ってきたくらいかな」
海。それはそれですてきだ。
「彼氏と?」
「ん。そうです」
照れたように笑う顔がかわいい。
恋愛ではないが、僕はこのひとのことが本当に好きだなと思う。
「……穂高君も?」
彼氏と、という言葉が省略された問いだった。僕もまた、そうです、と気恥ずかしさを覚えながら答えた。
「あと、相手の弟も一緒に」
「そうなんだ。相変わらず仲がいいね」
「うん。……変、かな」
「ううん。仲がいいことは、何も悪いことじゃないと思うよ」
二十代半ばの大人二人で、てへ、と笑い合う。どうやら、僕等の世界は恐ろしいほど平和に動いているらしい。
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