第三章

6/6
60人が本棚に入れています
本棚に追加
/147ページ
リューイチの黒い体は、闇に溶けて、四季の視界から見えなくなる。 四季は慌ててドアを開け、自分も雪の降る外に飛び出した。 すると、今さっき四季の車を追い越したワンボックスカーのブレーキランプが、赤く光った。 「ギャーッ!」 暗闇の中で、リューイチの恐ろしい声が響き、 そして、四季の目の前から、大きな車が、忽然と姿を消したのだ。 ――。 何が起こったのかわからない。 だが、車がいきなり姿を消すだなんてありえない。 慌てて雪に足を取られながら、その辺りまで走っていけば……、 大きなワンボックスカーが、そのままの姿勢で、ぽっかりと田んぼの真ん中に落っこちていた。
/147ページ

最初のコメントを投稿しよう!