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「あはははは!」
このマンションはペット禁止だ。
預かっているだけとはいえ、大家の耳に入れば、面倒なことになりかねない。
セラは失礼にならない程度にドアを閉め、リューイチを男の目から隠した。
「あ、それ、ウチの荷物ですか?」
ドアの隙間から覗くようにして尋ねると、気配を消したリューイチを、男は気味悪そうに眉をしかめうかがいつつ、
「いえ、実は隣のお部屋の荷物なんですが。お留守のようなので、何かご存知じゃないかと思って……」
と、そう言った。
男に言われて、セラは思い出した。
「あ、お隣の方、旅行に行くから、しばらく留守にするって言ってましたよ」
愛想よく応えながらも、足元では、必死にリューイチを追い払っている。
リューイチは、ともすれば、ドアの隙間に鼻づらを突っ込みそうな勢いで、グイグイと体を押してくるのだ。
宅配便の男は、
「ああ、そうですか」
と応え、
「それなら大家さんに荷物を預かってもらうことにします」
リューイチの存在が気になるのか、セラの部屋を何度も振り返りながら、廊下を歩いて行った。
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