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「リューイチは子どもが嫌いだから、家族持ちには頼めないし、ましてや女性の独り暮らしには、なおさら頼めないの」
ネコが子ども嫌いと言うのはよく聞く話だが、女性の独り暮らしに頼めない、とはどういう意味だろう。
セラの疑問は無視して、みみこは続ける。
「セラちゃんってば、確か彼氏と同棲中だよね。
そんでもって美人さんだから、セラちゃんなら、リューイチもおとなしく居てくれると思うんだ。
お願いっ! もうセラちゃんにしか頼めないの」
「えと、だから? そのリューイチくんってネコだよね?」
「うん、ネコだよ」
「ネコに人間の美醜がわかるの?」
「ウチのリューイチは面食いなのよ!」
みみこは電話の向こうで号泣する。
「だからいっつも、すっごいバカにした目付きで私を見るの。
リューイチってば私のことなんか、ただの召使いとしか思ってないのよ!」
セラは少しだけ言葉を無くした。
だけどもう何度目かの問いを口にせずにはいられなかった。
「だから、そのリューイチくんってネコだよね」
「うん、ネコなの」
良くわからないが、いつの間にか引き受けることになった。
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