第三章

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その瞬間、四季の軽自動車はスリップし、雪の上をターンする。 ハンドルの制御が利かなくなって、四季は思わずギュッと目を閉じた。 四季の車は氷の道路に遊ばれ、アイススケートのようにクルクルと回る。 そして、 ガッタン! 強い振動に襲われ、道脇に積まれた雪山に乗り上げて、 ――止まった。 『……よかった』 安全運転のお陰で、大きな事故にならなくて済んだ。 ほっとする間もなく、いきなり冷たい風が四季の頬を撫で、 驚いて振り返れば、リューイチがパワーウインドウを操作して、自分で窓を開けている。 驚いて目を見張っている四季を尻目に、リューイチは体が通れるだけの隙間を開けると、窓から外に飛び出して行った。
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