セラちゃん 第一章

5/5
前へ
/147ページ
次へ
みみこは持参したウェッジウッドの紅茶を淹れ、牛乳を温めている。 「最近、ロイヤルミルクティがお気に入りでさ」 ちゃんと人間用のものも含めて、3杯のミルクティを淹れてくれた。 人間用がマグカップで、ネコ用がウェッジウッドのティーカップなのが、すごく気にくわない。 『ネコ用食器にお金をかけるぐらいなら、もう少し自分を構えばいいのに』 ネイリストという職業柄、美容に関して、ましてやお肌のお手入れサボりなど見逃せないセラは、しみじみと思う。 嫁にいけないと嘆いているわりには、みみこは、ちっとも自分を構わない。 ほっぺたもカサカサで、顔色もあまり良くない。 服装もありふれたカットソーに色気のないジーンズ。 そういえば、職場の定期検診で引っ掛かって、検査入院になったと言っていた。 「リューイチ、お茶はいったよ」 みみこが声をかけるが、リューイチはチラリを薄目を開けただけで、また目を閉じてしまった。 「眠いのかな?」 「うんにゃ、あれは様子みてる」 みみこは、セラの耳元に口をよせ、コソコソと話した。 しかし、リューイチのピンと立った耳がレーダーのように動く。
/147ページ

最初のコメントを投稿しよう!

63人が本棚に入れています
本棚に追加