63人が本棚に入れています
本棚に追加
みみこは持参したウェッジウッドの紅茶を淹れ、牛乳を温めている。
「最近、ロイヤルミルクティがお気に入りでさ」
ちゃんと人間用のものも含めて、3杯のミルクティを淹れてくれた。
人間用がマグカップで、ネコ用がウェッジウッドのティーカップなのが、すごく気にくわない。
『ネコ用食器にお金をかけるぐらいなら、もう少し自分を構えばいいのに』
ネイリストという職業柄、美容に関して、ましてやお肌のお手入れサボりなど見逃せないセラは、しみじみと思う。
嫁にいけないと嘆いているわりには、みみこは、ちっとも自分を構わない。
ほっぺたもカサカサで、顔色もあまり良くない。
服装もありふれたカットソーに色気のないジーンズ。
そういえば、職場の定期検診で引っ掛かって、検査入院になったと言っていた。
「リューイチ、お茶はいったよ」
みみこが声をかけるが、リューイチはチラリを薄目を開けただけで、また目を閉じてしまった。
「眠いのかな?」
「うんにゃ、あれは様子みてる」
みみこは、セラの耳元に口をよせ、コソコソと話した。
しかし、リューイチのピンと立った耳がレーダーのように動く。
最初のコメントを投稿しよう!