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廊下に立っていたのは、何の変哲もない宅配便の男。
両手に大きなダンボールを抱えている。
セラは扉を大きく開けて、男を中へ招き入れようとした。
が――、
「うわっ!」
男は突然、悲鳴をあげた。
「……それ、何です?」
男の目線を追って自分の足元を見れば、いつの間にか、セラの側にリューイチが来ていた。
セラの脇に並ぶように、すんなりと立っている。
しかし――。
カゴで丸まっている時には気が付かなかったが、リューイチの体はかなり大きい。
小柄なセラと並んで立つと、腰の少し下ぐらいの高さがある。
種類はロシアンブルーだろうか。
ビロードのような整った毛並みは、目を凝らせば紺色だが、パッと見には黒光りして見える。
大きな耳に金色の瞳。
精悍な顔つきで牙をむいて、
「グルル……」
と唸れば、
「それ、ヒョウですか?」
そう見えなくもない。
セラは慌てて、リューイチを足でちょっと押しやった。
「まさか、ネコですよ」
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