第二章

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廊下に立っていたのは、何の変哲もない宅配便の男。 両手に大きなダンボールを抱えている。 セラは扉を大きく開けて、男を中へ招き入れようとした。 が――、 「うわっ!」 男は突然、悲鳴をあげた。 「……それ、何です?」 男の目線を追って自分の足元を見れば、いつの間にか、セラの側にリューイチが来ていた。 セラの脇に並ぶように、すんなりと立っている。 しかし――。 カゴで丸まっている時には気が付かなかったが、リューイチの体はかなり大きい。 小柄なセラと並んで立つと、腰の少し下ぐらいの高さがある。 種類はロシアンブルーだろうか。 ビロードのような整った毛並みは、目を凝らせば紺色だが、パッと見には黒光りして見える。 大きな耳に金色の瞳。 精悍な顔つきで牙をむいて、 「グルル……」 と唸れば、 「それ、ヒョウですか?」 そう見えなくもない。 セラは慌てて、リューイチを足でちょっと押しやった。 「まさか、ネコですよ」
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