その後の彼が会社を辞めない理由

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24時間一緒にいるわけではない。 俺の部屋に泊まらない日も多いし、すべての外出に同行しているわけでもない。 むしろ、比呂斗に女がいない方がおかしかったのだ。 今日の秘書たちの会話を思い出すまでもなく、あいつはモテる。 あいつは女とも付き合えるのだ。 今まで付き合って来た相手も女ばかりだった。 そして、その方がきっと自然なことに違いない。 ……………………俺にはあいつしかいないのに。 滲んでくる視界もそのままに俯いたまま走ると、ドンッと勢いよく人にぶつかってしまった。 「…………すみませんッ!!」 「痛ッ…………」 ハッとして顔を上げると向こうも目を丸くした。 「お前…………」 「ッ…………」
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