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「ちょっとお待ちください。
どうして彼のこと…
加賀見毅をご存じなんですか?
どうして今…」
立ち上がって背中に聞く。
「今でなければ手遅れになってしまう。
閉店を余儀なくされて、
最悪、潰れるようなことにでもなれば、
おまえの名前は地に落ちて、この店さえその影響を受けないとは限らないからね。
水商売は生き物だ。
ウカウカしてると足下をすくわれる。
虎視眈々と隙を狙ってるヤツはその辺にたんと居る。
たかが女1人のことで、
もたもたしてる時間はないんだよ!」
たかが女ひとり…
そんなことまで調べがついているのか…。
「だけど、
女ひとり…幸せにできない私が…
人に喜んでもらえるなんて…」
こんなに弱気になったことはない。
「全く、勝そっくりだ…」
勝?
確かそう言ったよな…
ほとんど聞こえないような、小声だったが、
確かに勝、と言った。
「勝って…父のことですか?」
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