第1章

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「お邪魔しますよ?」 店を終い、月末の売上を確認してるところだった 事務所のドアを開けて入ってきたのは… あの方。 俺をあの荒んだ生活から抜け出させてくれて、 この店を俺に準備してくれた方。 「これは…先生… ご無沙汰しております」 笹本が丁寧に頭を下げて、俺より先に駆け寄る。 もともと笹本はこの人の下で働いてた。 だから… 俺もすぐに傍により、 「ご無沙汰いたしております。 その節は…」 頭を下げて、そう言うと、 「座ってもいいかしら」 言ったと同時にソファーにお座りになる。 「どういうことかしら?」 正面から1人分ずらして斜め前に座った俺に、いきなり。 「どういうこと…とは…」 何のことを仰ってるのかが読めず、 頭をフル回転させる。 「あなたにはがっかりした。 もっと才能のある人間かと思っていたのに。 あっちよ。 ディスティニー。 すっかり赤字店舗で統率も取れていない。 サービスはいまいち、女の子の教育も行き届いていない。 裏方がチラチラ見えて… とても人に勧められる店じゃない。 どういうつもりであの店を出店させたのか解らない。 あっちが足を引っ張ってるようにしか見えない。 今すぐ閉店しなさい」
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