第1章

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深雪が顔をうずめて嗚咽混じりに 泣き始めるから ルイを悪モノにして 乙女と言い張る深雪の心を傷つけ過ぎたかもと少し反省した。 さっさと見切りをつけさせたいから 親切心で週刊誌を買ってまでして 見せてやったのに ルイと見切りをつけるんじゃなくて あくまでも 俺との関係を終わらせようとするから 歯がゆくて 悔しくて 憎らしくて 冷静さを保てなくて 怒りが込み上げてきて 大きな声で怒鳴ってしまった。 なんで 深雪は思い通りにならないんだろう? なんでそばにいる俺で満足できないんだろう? 俺のこの気持ちはどうしたらいいんだよ? ルイと幸せには絶対なれないのが分かっていて みすみす深雪を手放したくない。 深雪を手放してしまったら、 俺は本当にいい加減なダメな人間になってしまう気がして。 深雪のそばで、 深雪を抱いて 愛の言葉を囁いていられるなら 俺は他に何も望まないのにーーー。 深雪をどう扱っていいか分からないまま 泣いている深雪も 思い詰めていて 苦しいんだと分かって とりあえず キスしたくなった。 顔を上げさせようとしても 頭にぐっと力を入れて腕に顔を埋めている。 それでも無理矢理 顔を上げさせたら 鼻水をズルズルさせていた。 子供みたいな泣きっぷりに なんだか無性に愛しさを感じて 俺は唇を重ねた。
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