第1章

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しばらく しょっぱいキスを交わしていたら テーブルの上に置いてあった俺のスマホが鳴った。 無視して深雪を抱きしめてキスしていると 鳴っては切れて、鳴っては切れてを繰り返す。 「ヨシ、電話出た方がいいんじゃない?」 深雪が唇を離すと、鳴りやまないスマホの方に目をやった。 「ん」 スマホを手に取り、着信を見ると駒井からだった。 なんだろう? ふだん滅多に電話なんてかけてこないんだけど。 怪訝に思いながら電話の通話ボタンをタップした。 『あ、店長すみません、今大丈夫ですか?』 電話越しの駒井の声は低く暗く響いて耳に入ってきた。 『どうかした?』 『…………』 しばらく沈黙があって 駒井が口を開いた。 『今、河井と一緒にいるんですけど』 そう言われて無意識に腕時計で時刻を確かめる。 23:15分。 この時間にわざわざ河井と一緒にいる事を 電話してくる意図はーーー 『俺、河井と付き合ってるんですけど』 「…………」 なんで わざわざ報告するんだよ? そばで河井のすすり泣きする声が聞こえて なんだかイヤな予感がした。 『たったさっき、河井が店長とシてたっていう話を聞いて』 駒井の怒りを堪えるような声がする。 『店長がムリヤリ強要したらしいじゃないですか』 俺は 驚きのあまり 息をのんだ。 なんでそんな事になってんだ? 『社内恋愛は禁止なのは知っててこの会社入社してますけど まさか、店長がスタッフに手を出してるなんて 。。。ましてや、俺の彼女に。 マジで幻滅したんすけど。 俺、ここの会社辞めますわ。 河井も辞めさせます。 明日から出勤しないんで。 お世話になりました』 プツーーーー。 一方的に切られた。 マジで あり得ないだろ。
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