第1章

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ヨシに合鍵を置いていってと言ったけど 合鍵はどこにも見当たらなかった。 昨夜は ヨシと酔った勢いで またシてしまっていた。 私、ルイの事が好きで 結ばれたいって思うのに、 ヨシとの関係を止める事ができない。 それでいて ルイに抱かれたいなんて ムシが良すぎる。 「はあー」 溜め息しか出てこない。 私はとりあえず、シャワーを浴びた。 意思が弱くて ハッキリしない自分がイヤで責めた。 誰かと関係してしまうと こんなにもズルズルと引きずってしまうものなんだな。 ヨシの事、嫌いなわけじゃないから 余計に別れにくい。 情だってあるし。 肌を重ねてるのが居心地いいし セックスの時も ヨシとだったら 気持ちがいいままに、感じられる。 だけど ルイの時は愛撫されていても 恥ずかしくてしょうがなかった。 上から覗き込むルイは綺麗すぎて、 自分が劣等感を感じちゃってた。 美に完璧なルイを前にしたら 大抵の女子はコンプレックス持って 萎縮しちゃうんじゃないかって思うんだけど。 お風呂に浸かっていたら うつらうつら 眠くなってくる。 その時、かチャリと玄関のドアが開いた音が聞こえた。 きっと、ヨシがまた ウチに帰ってきたんだ。 「ただいま」 ヨシがバスルームの戸を開けて覗きこんだ。 ヨシはいつもと変わらない笑顔を向ける。 「お、おかえり」 つい、ふつうに答えてしまう。 「じゃ、ないよっ。合鍵置いてって言ったのに!」 私は湯船に口 スレスレに身体を浸らせながら 大声で叫んだ。 「知るか」 ヨシの素っ気ない返事が虚しく返ってきた。 そしてバスルームの戸が閉められた。 はあー。返す気ゼロだな。
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