第1章

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「いや、なんつーの、オンナらしいっつーか」 ヨシがニタニタして、気味が悪い。 「なに? グラマーって事?」 ヨシのもったいぶる様子にイラッとした私は眉をひそめた。 「グラマーとかそんな次元の低いもんじゃなくって」 「なに?次元の話?意味分かんない」 余計に眉根が寄ってくる。 「男が本能で求めるものを持ち合わせてるっつーか」 「つーか何?」 つい、ぐいっとヨシの前にのめり込んだ。 「ぷっ。眉間にシワ寄り過ぎだろ。 乾燥してるこの時期、イッパツでシワ取れなくなるぞ」 ヨシは私の眉間に指を突っ立ててぐいっと押し当てた。 顔はニタニタしたままで、その顔が私を不機嫌に煽っていく。 「余計なお世話」 ハッキリ言わない女性像が気になりながらも、ひつこく詮索するのもヨシの思うツボのような気がして 訊くのを止めた。 「深雪もシワが増える年に突入だな」 ちょっ さっきから超ムカつくんですけど! 「結婚も考えないといけないお年頃なんじゃね?」 「私、まだ26だよ?」 「もうすぐ27だろ? アラサーじゃん」 ヨシはなんでこんなに私を煽るのか? 「結婚は30過ぎてからでいいんだよ。 早婚は早く離婚するかもしれないんだから」 「別に、今バツついてんの当たり前じゃん 。試しに結婚してみる?」 ヨシは本気とは取れない、 気の抜けた口調でテキトーなプロポーズをした。 それにまたイラッとする。 「はあー。ほんと、乙女の憧れから遠いオトコだよね、ヨシって。 冗談でも軽くそんな事言わないでよ」 私が眉間のシワを作ったまま 口を尖らせて そう言ったから ヨシも私の態度と言葉に触発されて 言い返してきた。 「飯作ってくれてるダーリンをそんな風にあしらうのかよ」 「は? ダーリン? なに、その恩着せがましさ? 私、頼んでないし! 望んでもないし!」 私の悪態に ヨシがキレた。 「お仕置きだ」
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