第1章

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しかし、 小川は露骨にイヤな顔をして 「スミマセン、子供を送って行く途中、ぐずりはじめて」 と言いわけをした。 奥さんと共働きで子供がまだ小さいらしい小川は 何かと家庭の事情を勤務態度の言い訳にするから イラついてしまう。 家庭の事情は理解してやりたけど、 同情して甘く見る気はない。 給料もらって雇われてるんだから 店のルールくらいは社会人として守れや! と一喝してしまいたくなる。 けど、 「今度からは気をつけてくださいよ」 とヤンワリとしか言えないのは 小川が年上だからって言うのもある。 自分が経営者ならもっと意見もするけど そーでもない自分は 最低限の店長の責務でしか注意しない。 お互いイヤな思いをして同じサロンで仕事する方が、他のスタッフには悪影響にしかならないし。 それにしても 売り上げも下降気味で いつかは店長としての手当ても減っていくんじゃないかという恐怖を感じてきている。 人生思い通りにいかない事だらけだ。 深雪は鍵返せだの、 俺の厚意を頼んでいないとか言いやがるし あー、腹たつわ。 しかも、 犯してやろうと思ったら全力で拒否るし。 チキショー 深雪のヤロー 酒漬けにしないと抱かしてくれない。 なんて薄情なオンナなんだよ。 ご飯を作って尽くしても 俺を必要ないように言いやがって。 なんだか惨めで 全てがイヤんなるわ、ホント。
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