第1章

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「店長、在庫チェック終わりました。 欠品になったカラー材と他の液剤の在庫をリストアップしたので、目を通しておいてもらえますか?」 午前中の緩やかな時間帯、 予約のお客さまも入っておらず 新規のお客さまも来店されない暇な時は 普段忙しくて出来ない事をする。 在庫管理のチェックを河井がしてくれていて 他のスタッフはDM製作に取り組んでいた。 「ありがとう」 河井からリストアップされた紙を受け取る。 それに目を通していると 河井は俺のそばから離れようとせずに 横に立ちながら一緒に覗きこんでいた。 「もう、用はないから」と他のスタッフのDM製作をさせようと思ったけど 明らかに 俺のそばにいたそうに、 離れないでいるから 「欠品の発注の打ち込みをやってみる?」 とパソコンを立ち上げた。 俺がいつもやっている業務だけど不測の事態が起きた時に 俺以外の人間もできていた方がいいだろうと河井にやらせてみる事にした。 河井は駒井とデキているという想定のもと、俺への揺すりはもうないだろうと 油断してしまった。 「やった事ないですけど、店長の負担が減るなら、やってみます」 河井は、さも嬉しそうに笑顔で俺の横に立ったままパソコンの画面を見つめる。 俺に好意があるのは明らかだった。 こうゆう時に限って、 河井は胸元があいている服を着ていたりする。 前屈みになった河井の胸元からは谷間がチラつき つい 河井を抱いてしまった夜を思い出す。 見かけによらず豊満な胸。 小柄だけど 身体はしなやかで オトコを満足させられる魅力はある。 普段の河井とのギャップもあって 感じ方も大胆で 俺は驚いたんだ。 仕事の一環だと思ったのに これは、ヤバイと、 終わった時点で 罪悪感が生まれた。 冷めたセックスではなかった事に やたら罪悪感を感じたんだ。 『1度だけだよ』 と割りきったセックスのはずだった。 けど、 河井はまた求めてくるような言葉を吐いた。 純粋そうで 河井は結構な好き者だ。
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