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図書館職員さんたちの2年参りにくっついて行った帰り。
“いつもの”メンバーだという、姐さん・悠汰さん・ふぅちゃんと出店に寄った。
神社の参道に出てる、何ともいえない雰囲気のトコ。
「ほんとに、好きですよねぇ、こういうトコ」
ふぅちゃんがそう云いながら、店員のトコに向かう。
その背中を見て、くくく、と、悠汰さんが肩を揺すった。
「何?」
姐さんが不思議そうに首をかしげる。
「さっき、美涼さんが椎さんを評して言ったのを思い出しました」
「だから、何よ?」
美涼さん、と呼ばれた線の細い女の人を思い浮かべる。
最近司書職についた、ベリーショートのこんまいヒト。
今日は珍しく参加したんだとか云ってた。
「『前から思っていたんですけど、王子様みたいですよね』だそうです」
「王子…」
「王子なんだ」
「何となくわかるんだけど…」
「つか、腹黒いよね」
「うん、似非王子だね」
店員に何やら注文をしているふぅちゃんを遠巻きに眺めて、オレたちは皆で肩を揺らす。
うん確かに、そう見えるかも。
命令形似合うし。
そこがいいトコだ、とは、云わないけれど。
「……んだよ?」
戻ってきて不思議そうな顔をしたふぅちゃんは、眉を顰める。
「ううん、何にもないのよ」
「そうそう、お帰りなさい、王子」
「は?!」
不機嫌そうにふぅちゃんは首をかしげた。
オフホワイトのダッフルコートに白いボトムをあわせる、なんていう絵に描いたようなカッコウで。
カップ酒を4つ抱えて。
「…いち?」
「聞かない方が、身のためだと思うよ、王子」
そう云ったら、がつんと蹴り入れられた。
<The all end>
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