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ガラガラララ……
絵一は殴られて、路地裏に転がった。
そうしてから、ゆっくりと立ち上がると、殴られ、
ドサーッ
また路地裏に転がった。
……絵一はそのまま動かなかった。
あれからの絵一は、毎夜のように酔い潰れては、
すさんだ日々を送っていたのだった。
楽しいはずのクリスマスソングも、
いまの絵一の耳には、悲愴な曲としてしか届いてはこなかった。
絵一の脳裏には、これまで真弓と過ごしたイヴの思い出が、
弾けるような笑い声と共に浮かんでは消え、
また浮かんでは消えていった。
ペッ、ペッ
「待てよ、こら――っ!」
絵一は血を吐き捨てると、また立ち向かって行った。
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真弓にメールが届いた。
四純からだった。
真弓は読み終えると、短い返信を添えた。
そうしてから絵一の携帯の番号を押した。
でもそれはそこまでだった。
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