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ショックなことがあると、
大抵の人間は何にも手がつかなくなる。
そう、考えがちなものだが。
しかし、
『氷の三上』とはよく言ったもので。
智樹に至っては、
今までと変わらない日常を送っている。
おそらく自分という男は、
心の底まで凍り付いているのだ。
だから――
「何も問題ない」
唐突に投げ付けられた、
「大丈夫ですか?」
という質問に、
智樹は当然で唯一の答えを返した。
それなのに。
「……ダメだ、こりゃ」
智樹を見下ろす小坂の肩は、
大袈裟にすくめられた。
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