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ルイスは出勤したデレクと共に、パークスロープの高級住宅街を訪ねた。 どの家も高い塀を張り巡らせ、門には監視カメラが取り付けられている。 目指す家の前でデレクが車を停め、助手席のルイスが面倒臭そうに降りる。 そして、塀のインターホンのボタンを押して言った。 「ブルックリン警察のリードとバレッキーです。」 来訪は事前に連絡していた。 相手はすぐに応じ、門を開いた。 2人の刑事は家政婦に案内され、応接室で主が来るのを待った。 室内は広く、中央にデザイナーブラントの個性的なソファーとテーブルのセットが置かれている。 電化製品はキャビネットの中に収納されているらしく、部屋を飾るのは壁に掛けられたモダンアートの額縁ばかりだ。 漸く、この家の主が姿を現した。 彼は車椅子に乗り、両腕で車輪を漕ぎながら、ルイスとデレクの前まで来て言った。 「お待たせしてすみません。 今日は、体の調子があまり良くないんです。」
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