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ルイスとデレクはソファーから立ち上がり、彼にバッヂを見せて自己紹介する。
彼の方も、それに応えた。
男はクリス・ヒュートと名乗り、車椅子に座ったまま握手を交わした。
彼の肌は真っ白で、頭髪も眉も剃り上げられていた。
そのせいで、透き通るような青い瞳だけが、印象的に輝いている。
歳はまだ若く、20代半ばと言ったところだ。
ルイスの視線に気付き、クリスが言った。
「僕は生まれつき、色素欠乏症の上に側彎症なんです。
日によっては、車椅子に乗らないと移動出来ないもので…。」
「そのままで結構です、ヒュートさん。」
ルイスは、立ち上がろうと試みる相手を押し留めて言った。
「体調が優れない所、御協力頂きありがとうございます。」
しかしそれは、本音ではなかった。
ルイスは、彼の逞しい身体を上から下まで観察していた。
本当に足腰が萎えているなら、ヒュートの脹脛は痩せてしまっているはずだ。
しかし、彼の両足は健常者の成人男性と変わらなかった。
車椅子を操る腕も、力強く動いている。
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