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ルイスの呟きに、デレクが聞き返す。
ルイスは眼鏡を外し、目頭を押さえながら答えた。
「コルベットだよ。
ヒュートは自分の空想を楽しむ為のコレクションだと言っていたが、タイヤは磨り減っていたし、右のミラーが僅かに汚れていた。
日常的に使っているとしか思えない。」
途端に、デレクが大笑いして言った。
「おまえこそ、嘘吐きじゃないかって思う時がある。
目が悪いくせに、良く見えるな!」
「乱視だって、何度も説明しただろ?」
ルイスは、うんざりした表情で答える。
「視力は悪くないんだよ。
ただ、角度によって物が二重に見えたり、段差が曖昧になったりする。
眼鏡で矯正すれば、おまえよりずっと良く見えるんだ。」
デレクは、そうだったな、と形ばかりの返事をし、話しを元に戻した。
「ヒュートが本当に側彎症でも、あのスポーツカーを運転するのは不可能じゃない。
それなのに、彼はそれを否定したんだ。
つまり、何かを隠したがってる。
コルベットを走らせた事を秘密にしたいのか、それとも、他の誰かが使用した事を知られたくないのか…。」
ルイスは眼鏡を掛け直して言った。
「ヒュートは、兄がいると言っていたな?」
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