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「待てよ、エバン!
俺は仕事があって…。」
ハルの訴えは届かなかった。
既に、通話は一方的に切れてしまっている。
ハルは今度こそ、エバンの我がままを無視しようと心に決めた。
彼が癇癪を起こして奇行を繰り返そうが、これ以上世話を焼くつもりはない。
騒動を嗅ぎ付けたマスコミに記事を書かれたとしても、或いは警察沙汰になったとしても、ハルは自業自得だ、と言ってやろうと思った。
心を落ち着け、再びパソコンに向かっていたハルは、袖机に置いたスマホが鳴るのを耳にした。
またエバンだろうと、溜め息混じりに横目で見る。
しかし、相手がパティだと分かり、彼は慌てて電話に出た。
「やあ、パティ!」
「もう切るところだったわ。
忙しいんでしょ?」
パティの明るい声に、ハルは笑いながら答えた。
「まさか!俺は『暇人』だから。」
すると、パティが溜め息混じりに言った。
「本気で言ったんじゃないって、分かってるでしょ?」
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