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久し振りにスタンドア大学を訪れたハルは、正面から建物を仰ぎ見た。
10年前に創立されたキャンパスは、ガラス張りの近代的な外観と、それを囲むように植えられた木々が美しく調和し、清涼感に溢れている。
ハルはゆっくりと辺りを散策した。
午後の木漏れ日が降り注ぎ、構内の並木道は柔らかな陽光で包まれている。
しかし、行き交う人の姿は疎らだった。
ニューヨークは秋から冬へと季節を変え、多くの学生は暖かいカフェテリアで寛いでいるのだろう。
ハルは、大学を見学に来た高校生の集団を横目に、建物の中へと入って行く。
そして、ホールの壁に貼られた掲示物を眺めていると、背後から声を掛けられた。
「眠りから醒めたの?
王子様!」
振り向くと、小柄なブロンドの女が立っていた。青く丸い瞳は輝き、特徴的な大きな口を開けて白い歯を見せている。
「やあ、パティ。」
ハルもにっこり微笑んだが、すぐに眉をひそめて尋ねた。
「王子様って?」
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