2人が本棚に入れています
本棚に追加
「今、表に出ているのは十夜の元の人格。事件の記憶を持っている当事者だ」
「そうなの……、十夜?」
衝撃の事実に、ミーアは腰を抜かす
「その通りダヨ。さっきまで表に出ていたのは、後付けされた人格。今、体を支配している人格。」
十夜は何とか立ち上がろうとするが、立ち上がれない
「ボクは!あの日から人間を憎まなかったことはない!人間なんて嫌いだよ!」
十夜は叫ぶ。
「皆、皆。コロシチャウンダカラ!人間なんて、信用できない!もういやだ、こんなの。ボクが人間を、消してあげるんだから!」
ぺしっ
扇子で十夜のデコを叩く
「っ?!」
「人間が憎いか?それは、良いとして、人間が皆、悪者か?違うだろう?貴様ら、吸血鬼だってそれと変わらぬことをしている
その人間は、今の貴様と同じように吸血鬼を憎むだろうな。仕方がないといえば仕方がない。」
「なにがいいたい」
「それだと、世界は腐る。世界は進まぬ。壁を乗り越えろ、十夜。憎しみと言う壁を。縛られた過去から、抜け出せ。」
「……すぐに、許せるわけないだろ?すぐに、傷が癒えるわけないだろ!」
十夜はサータの言葉に噛みついていく。.
「はじめは、憎んだままでよい。幸い、貴様の方は中のもう一人と記憶を共有できるのであろう?」
「できるさ。さっきも干渉したんたカラナ」
「もう一人の中で、世界を見てこい。もしかしたら、憎しみを越えられるのかもしれん。」
「無理だよwゼッタイニwww」
ふぅむ。と、腕を組むサータ。その横で、ミーアは立ち上がり
「ウチが乗り越えさせる。」
「!?」
ぎゅう。
ミーアは十夜を抱きしめた
「離せ!ボクが怖くないのか!何十人の人間を食い殺したんだ!ミーアなんか、すぐにコロセルぞ!」
「勿論、こわいよ。でも、十夜は優しい。十夜を信じてる」
ミーアの声が震える
「ミーアの勘違いだよ、ソ・レ・ハッ!離れろ!ボクは人間を憎んでいるんだ!」
「嫌。十夜がウチを変えてくれたように、今度はウチが十夜を変えるんだ」
ぎゅうぅう
「ねぇ、十夜。私にチャンスを頂戴。人間にチャンスを頂戴。私が、十夜を助けるから!!」
……私と契約して?
.
最初のコメントを投稿しよう!