第16話

第1章 しばらくの平穏

「えっ、次の仕事の心当たりがあるってどういうこと？」
私の頭はチンプンカンプンだった。

「えっ、それってどういうこと？　
もうそんな心当たりがあるって・・・？」

その時私は咄嗟にそう思ったのだったが、
それを決して口にはしなかった。

なぜなら、本能的にそれを言えば
私たちの関係がまたおかしくなることを
嗅ぎ取っていたのだと思う。

それはできれば避けたいことであった。
いや、避けなければならないことである。

今はまだ後始末の途中である。
そして、また５年前のようには戻りたくない。

私も再出発をしていたのである。

こうして、しばらくは二人を見守ることにしたのだ。