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裕作が19の歳に―――
『おそらく貰い手がないだろう』と危険予測していた裕理子の親の行動力で、二人はめでたく結婚したかぁ~。
式が始まる前から夕方まで、裕作はずっと泣きっぱなしで、裕理子は泣くタイミングを逃し、浸る間もなかったらしいかぁ~。
「勘兵衛…」
夜になり、窓を開けた裕作にオイラは呼ばれたかぁ~。
「今までありがとうね、勘兵衛。勘兵衛は僕にとって、暗闇を照らしてくれる明かりだったんだよ。支えてくれてありがとう」
とんでもない、オイラと裕作は友達だから当たり前のことしかしてないかぁ~。
「僕、これからユリちゃんの旦那様として頑張るよ」
あのへなちょこだった裕作が、なんだか頼もしくて誇らしいかぁ~。
「だからもう…成仏してね…」
裕作がさっきの嬉し泣きとは違い、唇を震わせ悲しい顔で泣く…
「だって、勘兵衛は本当は7年前に…僕、お墓も作ったんだよ。でも次の日にはまた会えて…会えるのが嬉しかったんだ…だけど、僕のせいで成仏できないのなら…ごめん…ごめんね…勘兵衛…」
記憶が甦る。
そうだ、あの日オイラは…
泣いている裕作の手の中で、骸となり冷たくなっていたかぁ~。
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