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何だよ…
目の前の光景に顔をしかめた。
道行く人はチラチラこっちを見てる。これじゃあ、淳子を助けたはずの俺が悪者みたいじゃないか。
「健ちゃん、大丈夫?どこか痛い?」
さっきまでうずくまっていた淳子は、尻餅をついて項垂れたヒョロイのに駆け寄った。
おい、待てよ…
軽く突いただけじゃん、怪我なんかしてねぇだろ。
跪いてズボンの泥を払い、ヨロヨロと立ち上がるヒョロイ暴力男と腕を組む淳子。
その横顔は。
秀くんにブロウされてる女でもなけりゃ、さっきまで俺に笑いかけていた女でもなかった。
魔法、解けたーーーー
一言で表すなら、そんな感じ?
短く切られたせいで耳から首筋に当たる風が冷たい。
視線をズラした先の雲は分厚くて、公園の桜の木の落ち損ねの葉っぱがか弱く揺れていた。
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