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25日、クリスマス。数日前からどこからともなくエンドレスに流れるクリスマスソング。待ってました、とばかりに商店街には人の波が押し寄せた。
平日にも関わらず、クリスマスに浮かれてる連中ばかりで通常の閉店時間が近づいても鴨芽銀座商店街は賑やかだった。
「照り焼き2本と味付き若鶏1パック、お待たせ」
仲睦まじく寄り添う若い恋人達にお釣りを手渡して、店に充満する照り焼きのタレと身体に染み付いた揚げ油の匂いに心底うんざりだ。
RiririーRiririーRiririーRiririー
「ミートXLでーす」
ショーケースの中の骨付き照り焼きチキンが残り僅かになってきた頃だった。電話用の母ちゃんのチョット気取った声が店に響く。
「…航平、秀が来るから。今日はもういいわよ」
「はぁ?何言ってんだよ。まだ…」
女の途切れない秀くんが、クリスマスの夜に俺に何の用だよ?
「いいから。後は私がするから。秀が来るまでに風呂入ってしまいなさい」
納得出来ない俺の背中を強引に店の外に押し出した。
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