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───それだけではなかった。
クラスの誰もが2人の少女の存在を、
完全に記憶の中から消していた。
最初からいなかったかのように。
保健室に赴くと先ほどの被害者生徒は、
軽い貧血という扱いになっていた。
それに当時の記憶が完全に抜け落ちているという。
校庭へ出ると、
新しい風が沙樹の身体をそっと抜けていった。
いろんなものが沙樹に『さよなら』を言うように───。
沙樹は心の中で語りかけた。
(また会おう──)
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