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ふふふっ。月野くんってやっぱりかわいい。 携帯を缶のペンケースに入れたり、殺虫スプレーをズボンの後ろポケットに入れ、ブレザーで隠して携帯するなんて。 そんなんじゃ、全然効果を持たないのに。 あっ、もう約束の時間だわ、行かなきゃ。 「月野くん2人きりで話がしたいの。少しいいかな」 私は、返事を聞かず、廊下に出ようとした。 「橘さん、その話ってここじゃ、話せないの」 本当は何の話をするのか分かっているのに白々しい態度とって、なんてかわいいの。 「レディに2人って言われた時は、素直について来るもんなの。普通は」 「あ、そうだね」 私は月野くんと廊下に出た。そして向かった先は3階の渡り廊下。 あ、でもこの答えは半分合ってて、半分間違っている。 正確に言うと、3階の渡り廊下の屋根。 汐高の渡り廊下は天井が高いから4階の窓から簡単に乗ることができるの。 ほとんどの人が知ってることだけど、誰もこんな所には来ないわ。 理由は様々だけど、私が来る時はいつも誰もいない。 だけど今日は違う。 そう、今日は月野くんと一緒。 とってもうれしいわ。 「それで話って何?」 月野くんから話しかけてくれた。 「えーと、話っていうのは、このサバイバルゲームのこと。 月野くんも携帯を見て知ってると思うけど私も参加者。 そして能力は特定の人物の名前をうってカナタにメールを送ると、その人が毎5分ごとに何をしているのか状況はどうなのかがメールで返ってくるの。 一つのメールに1時間載ってるから、1時間ごとに送り続ければ、その人の行動が丸分かりなの。 それでこの能力を使って、月野くんが参加者であることを突き止めたの」
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