『No.1/槙原敬之』

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東京のごった返した街の中で、 数え切れないビルの大群と、 車と人の大量発生を横目で見ながら、 僕は自分のペースで車を走らせる。 僕は、この道を通るのが好きだった。 平日の午前中、少し混んだ国道は、 ちょっと余所見をする暇があるくらい、 スピードが出せない。 田舎育ちの僕には、 考えられないことだった。 けれど、もともとのろまの僕には、 この街で人々の間に流れる、 恐ろしく早い時間よりも、 これくらいのんじりとした速度の方が、 性に合っていた。
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