『No.1/槙原敬之』

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彼女と付き合うようになってから、 もう3年ぐらいになる。 大学の後輩だった彼女は、 偶然にも僕と同じ会社に就職し、 部署は違ったけれど、 社内で再会したのがきっかけで、 よく話すようになった。 僕も今年で27歳。 そろそろ、身を固めてもいいころだと、 田舎の両親は電話の度に突いてくる。 仕送りのお返しのつもりなのか、 はたまたこれが仕送りのつもりなのか、 母はよく食べ物を、 大きなダンボールに詰めて、 送ってきてくれるのだ。 食糧援助は、素直にありがたい。 だから、それが届いたときには、 ――それを期待している節もあるし―― 電話をするのだ。
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