第六章 魔 王

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その言葉に何か反論しようとする家臣に、殿はまた口を開いた。 「それでは生かしておいた方が良かったと、お前はそう言うのか? その子等は皆どうなると思う? 必ずや、恐ろしい復讐心を胸に鬼の心を抱いて育つであろう。 その地を責めると決めたなら、すべて悔恨を根絶やしにしなければ意味がない。 これは戦のない世を作るための、天下統一のための、尊い犠牲。 子等を生かしておいては、これまでの犠牲がすべて無駄になるであろう」 そう言って、殿は冷たく家臣を見据えた。
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