第六章 魔 王

37/39
前へ
/252ページ
次へ
何より『恐怖』を植え付けることで、結果的に無駄な争いを避けさせ、流す血を少なく、 絶対的な権力者へとなろうとしているのだろう。 ――彼の思惑は成功している。 寺を焼き、僧を殺した彼を鬼と思っている。 私が怖いと感じるとすれば、彼のまったく縛られない考えと、その行動力。 思えば、隠れた膿みを出すために、父の葬儀で、抹香を仏前に投げつけるという行動に出たくらいだ。 普通の人間では、ついて行けないほどに、彼は神仏に対する、怖さがない。 それが故に、神仏を信じぬ男とも囁かれている。
/252ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5608人が本棚に入れています
本棚に追加