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侍女達も、空へと舞い上がる美しい蝶の姿に、逃げることを忘れて、呆然と見詰めていた。
目頭が、熱い。
――どうか、帰蝶、生きてくれ。
殿の心が、分かる。
殿は本当に、自分の分まで生きて欲しいと、心の底から願っている。
涙を堪えて、強く拳を握り締める。
それが、殿の望みなら、
そうしろと、あなたが言うなら、
どんなに苦しくても、生きて見せよう。
やっぱりあなたは、
最期まで私を苦しめるんだ。
――――殿。
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